異世界[恋愛]

『君がいなくても眠れる』と妻を遠ざけた夫は、二千の夜、彼女が自分を眠らせていたことを知らなかった

公爵家に嫁いで五年。フィオナは、夜にだけ生きられない夫アルヴィスのために、毎晩そっと寝室を整え続けた。眠れぬ夫が眠りに落ちるまで、火加減も、香も、寝物語の声の高さも——すべてを夜ごと調えるのは、誰にも気づかれない地味な手仕事だった。けれど健やかな眠りを取り戻した夫は、よく笑う若い令嬢に心を寄せ、「君がいなくても眠れる」と言って妻を遠ざける。フィオナは言い返さず、ただ静かに離縁を受け入れて去った。残された手控えには、二千の夜ぶんの「眠りの覚え書き」が几帳面に綴られていた。彼女が消えた夜から、屋敷の誰も夫を眠らせられないことに、アルヴィスはようやく気づく。失われた手の重さに輪郭が見えるのは、いつも後になってから。

異世界転生 / すれ違い / 献身 / 切ない / 余韻 / もう遅い / 女主人公 / 令嬢 / 再会 / 恋愛 / ハッピーエンド
短編 2026/06/06 19:00更新
19,205字 41%
日間P
-
総合P
298
ブクマ
13
平均評価
8.24
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
253.85%
評価P
272
評価者数
33
週間読者
-
日間イン
0回
ベスト
圏外
最終取得日時:2026/09/19 12:10
※googleにインデックスされているページのみが対象です