異世界[恋愛]

妹が「祝福を受けるだけなら私の方が似合います」と言うので、王太子妃候補も聖鐘祭の役目も譲りました。ですが鐘は鳴りませんでした

「祝福を受けるだけなら、わたくしの方が似合いますわ」

侯爵令嬢セレフィナは、王太子ユリウスの妃候補として、王都最大の神事・聖鐘祭の準備を三年支えてきた。

聖鐘祭は、白い衣を着て王太子の隣に立つ華やかな儀式に見える。

だが実際は、神殿、王家、孤児院、貴族代表、民衆代表が関わる、順序を一つ誤れば成立しない神事だった。

妹ミレーユは、その意味を知らないまま妃候補の座と祭の役目を欲しがり、王太子も彼女を選ぶ。

ならば、とセレフィナは静かに身を引いた。

迎えた聖鐘祭当日。

白い祝福衣の妹は壇上で微笑む。

けれど、香炉を渡す順を誤り、祈りの言葉を削り、子どもたちの合唱を前へ出した瞬間、神殿長は告げる。

「この順序では、祝福は成立しません」

王都中が待っていた聖鐘は、鳴らなかった。

そして沈黙した鐘楼の下でセレフィナを見ていたのは、聖鐘祭の監督権限を持つ王弟大公だった。

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短編 2026/05/18 17:10更新
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最終取得日時:2026/08/26 12:11
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