異世界[恋愛]

家令の引継書

「あら、まだいらっしゃったのね」

28歳で婚約を解消されたマリエル・ロザムント侯爵令嬢は、若い令嬢に席を奪われ、社交界の片隅で噂の標的となっていた。

9年連れ添った婚約者の心が変わったのだ、と父は言った。マリエルは涙をこぼさず、ただ淡々と書類に署名した。

3か月後、屋敷に戻った夜——9年お仕えしてきた家令アルベルトが、革表紙の手帳をそっと差し出した。

「明朝、家令の任を辞させていただきます。これは、次の家令への引継書でございます」

開いたページには、こう書かれていた。

『お嬢様は、紅茶に角砂糖を1粒お入れになる。ただし春のあいだは2粒——』

——それは、引継書ではなかった。

ハッピーエンド / 西洋 / 婚約破棄 / 溺愛 / 観察愛 / お仕事 / 家令 / 引継書 / 元サヤなし / 微ざまぁ / 残酷な描写なし / アラサーヒロイン
短編 2026/05/02 11:10更新
6,474字 39%
日間P
-
総合P
722
ブクマ
12
平均評価
8.12
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
716.67%
評価P
698
評価者数
86
週間読者
-
日間イン
2回
ベスト
202位
最終取得日時:2026/08/30 12:12
※googleにインデックスされているページのみが対象です