現実世界[恋愛]

『文化祭当日好きな人に気付かれずに、身体のどこかにハート型のシールを貼れたら両想いになれる』というジンクスを成功させたい!

「ごめんね下井(しもい)君、待った?」
「い、いや、俺も今来たとこだよ」

 文化祭当日。
 ドキドキしながら自分の教室の前で竜田(たつた)さんを待っていると、メイド服に身を包んだ竜田さんが現れたので、心拍数が更に53万くらい上がった。
 竜田さんのクラスの出し物がメイド喫茶だというのは聞いていたが、頭の中でどれだけ思い描いていたメイド姿よりも、実物は可愛かった。
 自分の想像力の乏しさを、改めて実感する。

「じゃあ時間もあまりないし、早速回ろっか」
「うん」

 竜田さんと並んで歩きながら、俺はそっとポケットの中のシールの感触を確かめる。
 同じ文芸部の竜田さんに片想いして早や半年。
 何度もチャンスはありながらも、今まで告白できずにいたヘタレな俺だが、今日こそは決めてみせる!
 そのためには、このハート型のシールが必要不可欠。
 うちの高校には、代々『文化祭当日好きな人に気付かれずに、身体のどこかにハート型のシールを貼れたら両想いになれる』というジンクスがあるのだ。
 毎年何組かは、このジンクスのお陰でカップルが誕生しているらしい。
 だからこそ俺は何としても、今日中に竜田さんの身体にシールを貼らなければいけないのだ――!



※「なろうラジオ大賞5」の参加作品です。

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短編 2023/12/22 21:02更新
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最終取得日時:2024/12/26 12:27
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