史上最強のDQN格ゲー王が、強さそのままに、異世界へと転生したが、自分が最強であることを知らないため、寿司職人見習いとして、毎日、雑用に励んでいます。
『佐藤太郎(プレイヤーネーム:平熱マン)』は『虚無』という格闘ゲームに人生をささげている公務員。
虚無は、弟子NPCを育てる育成ゲームとしても秀逸な変わった格ゲーで、佐藤は、最強格の実力者でありながら、8体もの強力な弟子を育てていることでも有名な変態ゲーマー。
ある日、虚無の世界大会がオンライン上で行われ、佐藤は、その大会で、見事に優勝を果たす。世界最強の名誉を得た直後、佐藤は異世界で寿司職人見習いとして目覚め、厨房の片隅で、必死に包丁を研いでいた。
同じころ、その異世界で最強の存在である『武王』の居城に、8人の男女が訪れ、最強であるはずの王とその優秀な配下たちを一瞬で制圧してみせた。
「俺たち8人は最強神の弟子。どこかに旅立たれた師匠が、お戻りになられるまでの間、暇つぶしに、この世界を支配することにした」
――すし職人としての修行の日々が激務すぎて、実は自身が『劇的に最強』であることに気づかず、辛い日々をすごす佐藤。
その裏で、『佐藤の10分の1の実力も持たない弟子たち』は、圧倒的な力で世界を蹂躙し、闘神として崇め奉られていく。
弟子たちは言う。
「我らの師は、爆笑しながら赤ん坊(始めたばかりの初心者)をミンチにするなど日常茶飯事。日夜、嬲り殺しの練度を磨き、どうすれば他者に『より多くの苦痛』を与えることができるかと夢想にふける。そんな毎日に幸せを感じる――そういう、究極の邪神だ」
佐藤太郎は「日常的に初心者狩りをしている、クソ煽り厨のスーパーDQNプレイヤー」だった。
あくまでも、ゲームの世界で、ヒールとしてはっちゃけていただけで、実際の佐藤は、ごくごく平凡な公務員。
けれど、「弟子たち」の話をうのみにした、異世界の重鎮たちは、
『究極邪神・平熱マン』を、心底から恐れ、
どうにか邪神に対抗しようと、
必死の『無駄な抵抗』を開始する。
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