災嵐回記 ―世界を救わなかった救世主は、すべてを忘れて繰りかえす―
三渡カイは目覚めると異世界で美少女になっていた。
異世界転生?!しかもTS?!と浮かれつつも困惑する彼の前に現れたのは、自称皇太子のイケメン、空飛ぶ絨毯を操る美女、ドラゴン使いの男前という個性豊かな三人。
彼らによると、カイは百年に一度の大災害からこの世界を守った救世主だという。
(まじ?おれ、すごくね?)
しかしカイはなにも覚えていない。
カイは世界を救った代償に、この世界に来てから今日までの記憶を一切失ってしまっていたのだ。
おまけに五年間もの昏睡状態にあったため、自力で歩けないほど弱ってしまっていた。
「だいじょうぶ。ぼくがきみを助けるから」
「今度こそ、わたしが、あなたを、守る」
「お前を脅かすものは、ここには近づけさせやしない」
イケメンと美女と男前は、なにも覚えていないカイに対して、なぜか深い献身と強い執着をみせる。
戸惑いと疑念の中で、カイは二度目の異世界生活をスタートさせた。
リハビリをしたり、狩りに出たり、霊という不思議な力の使い方を学んだり、絶景を眺めて、おいしいごはんを食べて、酒を飲み交わし、歌い、踊り、笑いあう。牧歌的な、絵に描いたような平和な暮らし。
なにかと自分を巡ってケンカする三人の板挟みになりながら、カイは騒がしくも愉快なこの毎日を、いつしか心から愛するようになっていく。
(いつまでも続いてほしい)
(ずっと、このままでいたい)
しかし幸福には秘密があった。
カイがそれに気づいたとき、薄氷の上に築かれた楽園は、あっけなく崩れ去っていく。
過去になにがあったのか?
自分は本当に世界を救ったのか?
この身体は、一体誰のものなのか?
やがてカイは、一人の青年との出会う。
「お前はなにひとつ救わなかった!」
そしてカイは知ることになる。
失われた自分の物語が、救世の英雄譚などではなく、救いようのない悲劇であったということを。
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(TS転移した主人公が三人の美形にどでかい感情を向けられたり世界を敵に回したりするディストピアファンタジーです)
(犬と猫は死にませんがその他の動物は死んだり殺されたりします)
(人間はたくさん死んだり殺されたりします)
(アルファポリスにも投稿しています)
(誤字脱字、細かな文章の修正はありますが一度掲載したものの内容に変更はありません)
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