ハイファンタジー[ファンタジー]

その王冠を手にする金の瞳は

 最近、イグニス王国ではある盗賊がもっぱらの話題であった。
 機密情報には手を出さず、悪事のみを新聞社に告発するその盗賊は、《義賊》と呼ばれている。
 今回は誰が暴かれた。今度は誰が暴かれるのか。
 王都の人々は、そんな話題でもちきりであった。

 そんな《義賊》が世間を賑わせてから十年後。
 国立学院の生徒であるリッツガルド侯爵家嫡男、アウグストは、学院の敷地内にある図書館へと向かっていた。
 目的は図書館に収蔵されている本ではない。
 図書館の奥、ひと気のない書架の先に用があった。
 そこにはよく、目的の人物がいるからだ。

 その人物とはほとんど交流をしたことがない。
 これから彼へ依頼することは、彼にとって「どうでもよく」「面倒なこと」だろう。
 それでもアウグストは、リッツガルド侯爵家は、もう彼に頼ると決めた。
 それが今後、リッツガルド侯爵家の立場を決めることになったとしても。
 愛する妹を助けるため、アウグストと父である侯爵家当主は決めたのだ。

 緊張の面持ちで、震える手を抑えながら書架を覗き込む。
 書架の奥には大きな出窓があった。
 そこに腰掛けていた彼が、ゆっくりとアウグストの方を見る。

 ―― 彼の黒髪が光の加減によって七色に光り、金色の瞳がゆるりと猫のように弧を描いたのが見えて、息を呑む。

「どうしたの」

 彼ならばきっと。
 妹を救ってくれるはずだから。


※ 2万字程度の短編です
※ 三人称視点練習中
※ 一部人外✕人間(女)の表現あり

シリアス / 男主人公 / 人外 / AI補助利用 / 婚約破棄 / ざまぁ
短編 2026/06/06 08:00更新
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最終取得日時:2026/10/07 12:11
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