ハイファンタジー[ファンタジー]

わたしは勇者を殺せない

一二歳になってすぐに、ルーシア・トレムは人買いに売られることになった。親がギャンブルで大負けしてこさえた借金を返すためという、最低な理由で。
しかし、ルーシアはそのことを悲観することはなかった。
親と縁を切る好機とさえ思っていた。
なぜならルーシアは、父、母ともにどうしようもないクズだということを知っていたから。

そんなドライな彼女にも、一つだけ気がかりなことがあった。
それはただ一人の友達である、クロエ・クロームと別れなければならないことだった。
クロエに無用な心配をかけさせたくなかったルーシアは、ここから遠い地にいる金持ちの家で下働きすることになったと嘘をつき、再会の約束を交わした。

その後、ルーシアは人買いに売られ、さらにその人買いを介して、全く予想だにしなかった〝者〟に売られることとなった。
その〝者〟とは魔族。
魔獣を使役し、今この時も人間の領域に侵攻を続けている人類の天敵だった。

ルーシアを買った魔族は、ルーシア以外にも同じような境遇の子供たちを買っていた。
五年後に現れると予言されている、勇者を殺す刺客に仕立て上げるために。

子供たちの中で、刺客になれる者はたったの一人。
さらに、勇者殺しを達成した暁には、自由と莫大な報酬を与えるとのことだった。

刺客に選ばれた場合、勇者を殺すために必然的に人間の領域に戻ることになる。
報酬云々よりも、クロエとの再会の約束を果たすチャンスを得ることができるという点に魅力を感じたルーシアは、刺客になるために魔族が課した地獄のような訓練に臨んだ。

そして五年後。
見事刺客に選ばれたルーシアは、勇者を殺すために人間の領域に舞い戻るのであった……。

R15 / ファンタジー / 女主人公 / 勇者 / カクヨムにも掲載
短編 2020/12/24 20:36更新
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最終取得日時:2024/04/19 01:36
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