ローファンタジー[ファンタジー]

面倒なので黙っていたら天才参謀と誤解されました

後年、マルクの軍史家たちは、クラウス・フォン・ライフェンベルクを「沈黙の天才参謀」と記した。
諸邦の利害を束ね、敵国の思惑を見抜き、ただ一言で戦役の方向を定めた男。と。

だが、その大半は誤解である。

確かにクラウスは名門ライフェンベルク家の嫡孫にして、陸軍高等軍学院主席、若くして統帥府(参謀本部)に配属されたエリートだった。
とはいえ本人に言わせれば、ただ試験の点が良かっただけで、戦場を切る直観も決断力も野心もない。
あるのは、人の話を最後まで聞く忍耐と、怒鳴られたくないという切実な願いだけだった。

会議で意見を求められれば、なるべく穏当なことを言う。
揉めそうな議題は、欄を分けて別の紙にする。
怒られそうな言葉は、怒られない言葉に替える。

それだけのことを繰り返していたはずなのに、味方からは「全体を見通す男」と持ち上げられ、敵国からは「法と兵站を操る若き参謀」と警戒され、歴史には「連邦を統べた沈黙の天才」と書かれていく。

これは、面倒を避けたいだけの青年が、誤解と制度と善意によって、だんだん歴史の中心へ押し上げられていく物語である。

※ハーメルン、カクヨムでも投稿しています。

R15 / 残酷な描写あり / ESN大賞11 / なろうフェス2026 / シリアス / 男主人公 / 西洋 / 近世 / ミリタリー / HJ大賞7 / BWK大賞1 / BK小説大賞2 / ESN大賞10 / 戦記 / 参謀 / 勘違い / 歴史
全71話連載中 2026/08/30 01:12更新
399,007字 (5619.8字/話) 33%
日間P
24
総合P
7,050
ブクマ
1,459
平均評価
9.24
感想数
77
レビュー
0
評価頻度
30.64%
評価P
4,132
評価者数
447
週間読者
3,908
日間イン
14回
ベスト
134位
最終取得日時:2026/08/31 12:14
※googleにインデックスされているページのみが対象です