ヒューマンドラマ[文芸]

三度申し上げました。誰も聞きませんでした

 婚約者を義妹に奪われたとき、テレーゼは怒らなかった。

 怒る理由がなかった。彼女は三つのことを知っていたからだ。

 フェルディン伯爵家に金がないこと。あの人に二歳の子がいること。あの家の小切手を、もうどこの銀行も受け取らないこと。

 三月十四日、テレーゼは同じ日に三人へ、同じ三つを順に伝えた。

 義妹に。継母に。父に。

 義妹は微笑んで、こう言った。

「そういうことを言うのは、みっともないと思う」

 継母は二つめの途中で席を立った。父は「女同士のことだ」と言った。

 テレーゼはその夜、伝えた内容を書面にして、公証人に預けた。

 書かなければ、なかったことになるからだ。

 ――四か月後、義妹が部屋に駆け込んでくる。

 お姉様、助けて、と言いながら。

アイリスIF9大賞 / ESN大賞11 / 女主人公 / 西洋 / 中世 / ハッピーエンド / 婚約破棄 / ざまぁ / 令嬢 / 義妹 / 自業自得 / 因果応報 / 貴族 / 継母
短編 2026/08/24 20:05更新
15,090字 52%
日間P
520
総合P
910
ブクマ
20
平均評価
7.91
感想数
1
レビュー
0
評価頻度
550%
評価P
870
評価者数
110
週間読者
-
日間イン
2回
ベスト
66位
最終取得日時:2026/08/27 12:05
※googleにインデックスされているページのみが対象です