異世界[恋愛]

妹の欲しがりが国を滅ぼすとき

『ずるいわお姉様ばかり。私もお姉様のそのドレスが欲しいわ』

 妹は私よりも3つほど下の妾腹の娘で、所謂庶子にあたる。ピンクブロンドの美しい髪を持つ、そんな妹を父は溺愛し、彼女の欲しがるものは何でも与えた。
 はじめは小さなクマのぬいぐるみだった。
 しかしそこを皮切りに彼女は次々とものを欲するようになった。
 風向きが変わったのは、そんなこんなで私が婚約者の王太子殿下との面会を王宮で行った帰りでのことだった。
『ねえ、お姉さま。王太子殿下って……さぞや素敵な御方なのでしょうね?』
 あのゾクリとするような、底冷えする瞳を見たのは、それが初めてだった。
 その時、直感的に私はこの妹が、間違いなく私の婚約者を欲しているのだと察した。そして内心ぼんやりと悩んでいると同時に、私に対する良くない噂が、学園内で囁かれ始めた。
 無論、どれも噓である。しかし人の口に戸は立てられない。
『君との婚約を解消したい』
 それは、予想外の一言だった。
『代わりに、君の妹と婚姻関係を結ぼうと考えている。これは決定事項で、すでに父上や宰相にも話を通してあり承認済だ。何、大々的に婚約破棄をパーティとかで行うわけではないのだ。王家も君の家も、これなら体面に傷はつかないだろう』
 そうして、私は婚約者を喪い、妹は欲しがっていた私の婚約者を手に入れた。

 失意の中、記憶も半分定かではなく歩いていた所に、たまたま留学していた帝国の第二皇太子に王宮の庭園で出くわした事をきっかけに、私は見初められた。
 ……今となってはそれも良かったのかもしれない。こうして私が心からの最愛と巡り合い、人生を共にすることができたのだから。

 でも。

「大変よ、王国で革命が起きたわ!」

 事態を重く見た私たちはその真相を探るべく、王国に無い戻った。

欲しがり妹 / 異世界 / ざまあ / ざまぁ? / 本当に欲しいもの / モヤモヤエンド / 国家破綻 / 婚約破棄 / NTR / 傾国の毒婦
短編 2025/05/11 13:20更新
11,346字 37%
日間P
144
総合P
858
ブクマ
18
平均評価
8.39
感想数
0
レビュー
0
評価頻度
544.44%
評価P
822
評価者数
98
週間読者
-
日間イン
4回
ベスト
164位
最終取得日時:2025/05/16 12:05
※googleにインデックスされているページのみが対象です