好きな人の婚約が決まりました。好きな人にキスをされました。
わたしの好きな人には婚約者が居る。けれど、婚約者ができたばかりの好きな人にキスをされてしまった――――そんな場面からはじまる3組の恋模様をオムニバス形式で描きます。
【男爵令嬢メリンダの場合】
王宮で侍女として働くメリンダは、王太子ステファンのことを密かに恋い慕っていた。けれど、彼女の恋が叶うはずもなく、ステファンは妃に相応しい女性――――公爵令嬢リズベットとの婚約が決まってしまう。
失恋の痛みに苦しむメリンダ。そんなメリンダにステファンがいきなりキスをしてきた。
「僕はメリンダが好きなんだ」
愛しい人からの突然の告白――――けれど、彼には婚約者がいる。第一、自分はステファンに見合わない。
(嬉しい。だけど、彼の想いに応えてはいけない)
そんなふうに思いつつも、メリンダは禁断の恋に溺れていき――――?
【伯爵家執事レヴィの場合】
伯爵家の執事として働くレヴィ。彼は伯爵家の令嬢、アリスのことをとても大切に思っていた。
そんな中、アリスは資産家であるアンゼルジャン侯爵との結婚が決定。祝福の言葉を述べるレヴィ。そんな彼に、アリスがいきなりキスをしてきた。
「私、結婚なんてしたくない! レヴィのことが好きなの!」
愛しい人からの愛の告白。しかし、二人の間には超えられない身分の差がある――――レヴィはアリスの想いに応えてやることができない。
なんとか結婚を了承させ、レヴィは嫁ぎゆくアリスを見送る。
けれど、それから数ヶ月後、久々に会ったアリスは見るも無惨にやつれていて――――?
【伯爵家侍女メアリーの場合】
侍女のメアリーと伯爵令息ジェラルドは、生まれた頃から一緒に育ってきた。メアリーは密かにジェラルドを想いつつ、叶わぬ恋だからと諦めていた。
そんな中、ジェラルドに侯爵令嬢アリティアとの縁談が持ち上がる。落ち込むメアリーに、ジェラルドがいきなりキスをしてきて――――?
「身分の差が何だって言うんだ! 俺は絶対、お前と一緒になりたい!」
※各章3万字程度の中編です。全体で見ると、10万字程度の長編となります。
※このお話は、ベリーズカフェ様、アルファポリス様にも掲載しています。
102,289字 (2841.4字/話) 28%